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ランクル250の盗難統計を公的データで読み解く【2023-2026年】
「ランクル250は盗まれやすい」という噂を、日本損害保険協会・警察庁の統計データで検証する。車両本体盗難・車上ねらいの推移、発生時間帯、多発地域、警察庁が名指しで警戒を呼びかけている車種に加え、2026年上半期にランドクルーザーの盗難台数が前年同期比7割減となった最新速報まで一次統計に基づいて整理した。
「ランクル250は盗まれやすい」という話を、購入を検討している段階で聞いたことがある人は少なくないはずだ。SNSや口コミでは断片的な体験談が飛び交うが、実際のところ数字はどうなっているのか。
この記事では、性質の異なる2つの公的データをもとに、感情論を排して数字だけを見ていく。1つは業界団体である日本損害保険協会が公表している「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」(PDF、対象期間2023年1月1日〜2025年12月31日、損保協会加盟・非加盟含む21社の保険金支払データに基づく調査)。もう1つは警察庁が公表している「自動車盗難等の発生状況等について」(PDF、2026年2月付、2025年までの認知・検挙データ)だ。さらに2026年8月には警察庁から「令和8年上半期における車名別盗難台数の状況」(PDF、令和8年7月付)が公表され、2026年に入ってからの最新動向が分かるようになったため、本記事にも反映した。データを淡々と示すことが目的であり、不安を煽る意図はない。対策については記事の最後で、純正セキュリティを整理した記事に譲る。
最初に確認しておきたい前提
この統計における「ランドクルーザー」は、車名としてのランドクルーザーシリーズ全体の集計であり、プラドを含む。ランクル250単体を分離した公的統計は、少なくとも本記事執筆時点では存在しない。250はランドクルーザーシリーズの現行主力モデルの一つだが、「ランドクルーザーが盗難ランキング1位」という事実イコール「250が狙われている」とは、統計上イコールで結べない。
この前提を踏まえた上で、それでも「ランドクルーザーというブランド・車格が盗難のターゲットになりやすい」という傾向自体は、無視できない規模で表れている。以下、その中身を見ていく。
車両本体盗難:3年連続1位、しかも急増中
日本損害保険協会の調査における「車両本体盗難」の車名別ランキングで、ランドクルーザーは2023〜2025年の3年間、一貫して1位を占めている。
| 年 | 件数 | 構成比 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 383件 | 14.7% | 1位 |
| 2024年 | 688件 | 27.5% | 1位 |
| 2025年 | 825件 | 30.0% | 1位 |
注目すべきは順位そのものより増加のペースだ。2023年から2025年にかけて、件数は2.15倍、全体に占める構成比は14.7%から30.0%へと2倍以上に膨らんだ。車両本体盗難全体の件数自体も2023年2,597件→2024年2,499件→2025年2,746件と推移しており、盗難全体がそれほど増えていない中で、ランドクルーザーだけが突出して比率を伸ばしている構図が見える。
1件あたりの平均支払保険金も上昇傾向にある。
| 年 | 平均支払保険金 |
|---|---|
| 2023年 | 237.9万円 |
| 2024年 | 281.5万円 |
| 2025年 | 297.5万円 |
これは車両本体盗難全体の平均であり、ランドクルーザーだけの数値ではない点に注意が必要だが、盗難車の平均的な単価が上がっていること自体は、高額車種が狙われやすくなっている傾向の傍証にはなる。
なお、この日本損害保険協会データの対象期間は2025年までだ。2026年に入ってからの最新動向は、後述する警察庁の2026年上半期速報で別途扱うが、そこでは一転して大幅な減少が示されている。「急増中」という見出しはあくまで2023〜2025年の3年間についての描写であることに注意してほしい。
車上ねらい(部品盗難等)も2025年に1位へ浮上
車両ごと盗まれる「車両本体盗難」とは別に、駐車中の車から部品などが盗まれる「車上ねらい」のランキングでも、ランドクルーザーの順位は急上昇している。
| 年 | 件数 | 構成比 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 21件 | 2.3% | 5位 |
| 2024年 | 43件 | 6.0% | 2位 |
| 2025年 | 66件 | 9.8% | 1位 |
2023年時点では5位・構成比2.3%だったものが、2025年には1位・9.8%まで駆け上がっている。件数ベースでは3.1倍。車両本体盗難と合わせて見ると、「車ごと盗む」「部品だけ盗む」の両方の手口で、この2年ほどランドクルーザーというブランドへの狙われ方が強まっていることが読み取れる。
いつ・どこで盗まれているか
ここから先の発生時間帯・多発都道府県・被害車両年式の内訳は、ランドクルーザーに限定した集計ではなく、車両本体盗難全体(2025年2,746件)の統計である。ランドクルーザー単体でこれらを分解した数値は、日本損害保険協会の当該調査には含まれていない。あくまで「盗難全体としてどういう傾向があるか」の参考情報として読んでほしい。
発生時間帯(車両本体盗難全体、2025年)
- 深夜〜朝(22時〜9時): 60.2%
- 日中(9時〜17時): 27.1%
- 夜間(17時〜22時): 7.3%
- 不明: 5.4%
深夜から早朝にかけての時間帯に6割が集中している。夜間の駐車環境(屋外か屋内か、照明の有無、防犯カメラの有無)が結果に影響する時間帯であることがうかがえる。
多発都道府県(車両本体盗難全体、2025年上位5)
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 愛知県 | 622件 | 22.7% |
| 2位 | 埼玉県 | 306件 | 11.1% |
| 3位 | 神奈川県 | 279件 | 10.2% |
| 4位 | 千葉県 | 233件 | 8.5% |
| 5位 | 大阪府 | 224件 | 8.2% |
上位5都道府県だけで全体の6割を超える。特に愛知県は突出しており、単独で全体の2割以上を占める。上位に共通するのは人口が多い地域が多いことだが、盗難が多発する理由については日本損害保険協会の当該調査自体が言及していないため、本記事では推測を交えず件数の事実のみを示すにとどめる。
被害車両の年式(車両本体盗難全体、2025年)
年式別では2015年以前の車両が44.7%と最も多い。一方で、2020〜2024年式の比較的新しい車両にも一定数の被害が発生している。つまり「新しい車種・新しい年式だから安全」という単純な図式は成り立たない。年式の古さは盗みやすさ(旧型のセキュリティシステムの解錠しやすさなど)と相関しうるが、新しい車両であっても商品価値・海外需要が高ければ標的になり得るということだ。
警察庁データで裏を取る
日本損害保険協会のデータは保険金支払ベースの民間統計だ。ここからは、警察庁が公表している「盗難等車両手配」の統計(保険金支払とは別の切り口)で、ここまでの傾向にどこまで一貫性があるかを確認する。
車名別盗難台数(警察庁、2024〜2025年)
| メーカー・車名 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| トヨタ ランドクルーザー | 1,177台(千台当たり3.5台) | 1,064台(千台当たり3.4台) |
| トヨタ プリウス | 424台 | 539台 |
| トヨタ アルファード | 303台 | 488台 |
| トヨタ レクサスLX | 195台(千台当たり19.7台) | 230台(千台当たり23.3台) |
出典: 警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」(2026年2月付)
この統計でも、ランドクルーザーは車名別盗難台数のトップに立っている。ただし注目したいのは「千台当たり」の数値だ。実台数は1,064台→1,177台と増えているが、保有台数で正規化した千台当たりの件数は3.4→3.5とほぼ横ばいで推移している。つまり、盗難台数の増加は、ランドクルーザーの保有台数(現行250の販売が伸びていること)自体の増加とある程度連動している可能性があり、日本損害保険協会データで見た「構成比の急増」ほど単純に「1台あたりの危険度が急上昇している」とは言い切れない面もある。2つのデータは調査手法(保険金支払 vs 手配車両)に加え、指標そのものも異なる(日本損害保険協会は「全盗難件数に占める構成比」、警察庁は「保有台数当たりの発生率」)ため単純比較はできないが、複数の切り口で見ることで、より立体的に実態を捉えられる。
【2026年8月追記】2026年上半期は一転して大幅減
2026年8月、警察庁から「令和8年上半期における車名別盗難台数の状況」(令和8年7月付)が公表された。2026年1〜6月の車名別盗難台数と前年同期の比較で、ここまで見てきた「増加基調」とは様相が大きく変わっている。
| 順位 | メーカー・車名 | 2026年上半期 | 2025年上半期 |
|---|---|---|---|
| 1位 | トヨタ ランドクルーザー | 219台 | 765台 |
| 2位 | トヨタ プリウス | 170台 | 289台 |
| 3位 | トヨタ アルファード | 97台 | 191台 |
| 4位 | トヨタ ハイエース | 92台 | 97台 |
| 5位 | ダイハツ ハイゼット | 56台 | 38台 |
| 6位 | トヨタ クラウン | 50台 | 107台 |
| 7位 | トヨタ レクサスRX | 48台 | 141台 |
| 8位 | トヨタ レクサスLS | 45台 | 55台 |
| 9位 | スズキ キャリイ | 40台 | 43台 |
| 10位 | トヨタ ヴェルファイア | 38台 | 37台 |
出典: 警察庁「令和8年上半期における車名別盗難台数の状況」(令和8年7月付)
読み取れるポイントは3つある。
- ランドクルーザーは依然1位だが、台数は前年同期の3割以下。765台→219台と約71%の減少で、2023年上半期以降続いてきた「上半期ごとに増える」流れ(2023年上半期256台→2024年上半期590台→2025年上半期765台)が初めて反転した
- 減少はランドクルーザーだけではない。ワースト10のうち8車種が前年同期比で減少しており、増えたのはハイゼット(38台→56台)とヴェルファイア(37台→38台)のみ。自動車盗難全体が縮小した半年だったことがうかがえる
- レクサスLXがワースト10圏外に。2025年上半期に120台が盗まれていたレクサスLXは、今回の上位10車種に入っていない(つまり38台未満)
この資料の「盗難台数」は、盗難等車両手配がなされた車名が明らかな車両の集計で、未遂等を含まないため、犯罪統計の自動車盗難認知件数とは数が一致しない点に注意が必要だ。また、保有台数で正規化した「千台当たり」の件数は、元となる統計資料の公表が年1回であるため、2027年3月頃公表予定の「令和8年中における車名別盗難台数」であらためて公表するとされている。
急減の要因について、この資料自体は言及していない。半期の速報値であり、下半期に傾向が変わる可能性もあるため、通年での評価は年間統計を待つ必要がある。また、「ランドクルーザー」がプラドを含む車名全体の集計であるという本記事冒頭の前提は、この速報でも同様だ。
警察庁が名指ししているのは「ランクル250」ではなく「プラドの旧型」
警察庁は「STOP!自動車盗難 今、狙われている車はこれだ!」という注意喚起資料を公開しており、そこで名指しされているのは**ランドクルーザープラドの旧モデル(型式TRJ150W=ガソリン、GDJ150W=ディーゼル)**とアルファード30系(旧モデル)の2車種だ(出典: 警察庁「STOP!自動車盗難」)。CANインベーダーによる被害が多発しているという注記もある。
つまり、ここまで見てきた「ランドクルーザー」の統計上の強さは、現行のランクル250そのものというより、旧型プラド(150系)の被害が牽引している可能性がある。250固有の被害動向を示す公的データは確認できていないため断定はできないが、少なくとも警察庁が公式に名指しで警戒を呼びかけている対象は250ではないという事実は、記事の前提として明記しておく価値がある。
全国の盗難全体に見られる傾向(車種を問わない参考情報)
警察庁データが示す、車種を問わない自動車盗難全体の傾向もあわせて紹介する。
- キーなし盗難の割合が過去最高: 2025年は自動車盗難全体の77.8%が「キーなし」(リレーアタックやCANインベーダーなど、物理キーを使わない手口)での被害。年々上昇傾向にある
- 発生場所は「一般住宅」が過去最高: 2025年は45.2%が一般住宅での被害で、「駐車場」(27.9%)を上回った
- 認知件数はピーク時の1割以下だが、2022年以降は増加傾向: 自動車盗難の認知件数は2003年の64,223件をピークに大幅に減少し、2025年は6,386件(ピーク比1割以下)。ただし2022年以降は毎年増加している
出典: 警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」(2026年2月付)
FAQ
Q. ランクル250は本当に盗まれやすい?
統計上、「ランドクルーザー」という車名区分(プラドを含む)は日本損害保険協会・警察庁いずれの調査でも盗難ランキング上位の常連であり、2025年までは件数・構成比とも増加傾向にあった。一方、警察庁の速報によれば2026年上半期の盗難台数は219台と前年同期(765台)から約71%減少しており、直近では増加の流れが反転している(それでも順位は1位)。また、警察庁が名指しで警戒を呼びかけているのは現行のランクル250ではなく旧型プラド(型式TRJ150W・GDJ150W)であり、250固有の被害動向を示す公的データは確認できていない。「ランドクルーザーというブランド・車格が狙われやすい」という傾向と、「250個体が狙われている」という話は、混同しないよう注意が必要だ。
Q. 統計の「ランドクルーザー」にはランクル250だけが含まれる?
含まれない。この統計上の「ランドクルーザー」はプラドを含むランドクルーザーシリーズ全体の集計であり、250だけを分離した公的統計は確認できていない。むしろ警察庁の注意喚起資料が名指ししているのは旧型プラドであり、250はその対象に含まれていない。この点を踏まえた上で数字を解釈する必要がある。
Q. 最新の統計でもランドクルーザーの盗難は増え続けている?
増え続けてはいない。警察庁「令和8年上半期における車名別盗難台数の状況」によれば、2026年上半期のランドクルーザーの盗難台数は219台で、前年同期の765台から約71%減少した。上半期ベースでは2023年以降初めての減少反転となる。ただし順位は依然1位であり、半期の速報値であるため、通年の傾向は年間統計を待つ必要がある。減少の要因について資料は言及していない。
Q. 盗難が多い時間帯・地域は?
時間帯は深夜〜朝(22時〜9時)が60.2%と突出している。地域は愛知県(22.7%)が最多で、埼玉県・神奈川県・千葉県・大阪府と続き、上位5都道府県で全体の6割を超える。
Q. 古い年式のランクルだけが狙われる?
そうとは言えない。2015年以前の車両が44.7%と最多ではあるものの、2020〜2024年式の比較的新しい車両も一定数被害に遭っている。年式の新しさだけで安心はできない。
Q. 盗難対策として何をすればいい?
本記事はデータの提示に絞っており、具体的な対策は扱わない。ランクル250に標準装備されているイモビライザーやオートアラーム、ディーラーオプションで追加できる純正セキュリティ機器については、ランクル250の純正セキュリティを整理するで一次情報に基づいて解説している。
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参考情報
- 日本損害保険協会「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」(対象期間2023年1月1日〜2025年12月31日): https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jidoshatounan/pdf/news_25-30.pdf
- 警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」(2026年2月付): https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/2026zidoushatounan.pdf
- 警察庁「STOP!自動車盗難 今、狙われている車はこれだ!」: https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/stopzidoushatounan.pdf
- 警察庁「令和8年上半期における車名別盗難台数の状況」(令和8年7月付): https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/R8kamihankiniokerusyameibetutounandaisuunojyoukyou.pdf
- 警察庁「令和7年上半期における車名別盗難台数の状況」(令和7年7月付): https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/R7kamihankizidoushatounan.pdf
- 警察庁「令和6年上半期における車名別盗難台数の状況」(令和6年7月付): https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/r6kamihankishameibetutounandaisuu.pdf